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デビュー詩集『東京情緒』(コトニ社)を刊行したばかりの武蔵小山在住の詩人、高﨑一さんをフラヌール書店にお招きします。
ITベンチャーのCFOは、なぜ言葉で内面の柔らかいところを取り出す詩作というおこないをせざるを得なかったのでしょう。職業人としての成功を語る本ではなく、すぐに消え去ってしまう日常の一瞬の情景やままならない心を書き留めるほうを選んだのは、なぜなんでしょう。
『東京情緒』は、ある三年間をひと月ごとにひとつの作品で表現した詩集です。ここに描かれているのは、都会に暮らし働いている私たちみんなが知っている、あの感じです。無機質なオフィスの毎日に心はささくれだつけれど、ときどき同僚の人間味に触れて安らいだり、通勤途中に見つけた小さな自然に癒されたり、漂う季節の匂いに遠い日の記憶を蘇らせたり、夜のひとりの部屋で孤独の不安と開放感が入り混じる心の波に漂ったり。そんな日々です。

やはりこれは詩というより、散文的な私小説、あるいはエッセイなのでは……と思うところもあるけれど、そうではない気もします。時の流れに沿って描かれたような出来事は必ずしもそうではなく、彼が見た景色の描写はそこではないいくつかの思い出のアマルガムだったりします。
何よりこの作品が詩に属する何かだと感じさせるのは、言葉の、とくに日本語のクオリアへのこだわりです。何気ない日常を描写しているようで、言葉に纏わせた質感の効果か、目に見えない何かや、今ここではないどこか、いつかと繋がっているような気配を描こうとしています。
彼の描写する風景の場所は、文中に明示することはほとんどないけれど、「この界隈」、つまり武蔵小山や不動前や目黒、恵比寿、そういった街です。都会の風景を詩の言葉でスケッチしながら、でも、すぐにその向こう側に何かを幻視して、内面の思考に沈降する。それはひと言でいえば遊歩者(フラヌール)の作法かもしれません。
そうなると、フラヌール書店にお招きしないわけにはいきません。どんなおしゃべりに展開するかは予想していませんが、私の聞きたいこと、みなさんが興味惹かれることをざっくばらんにお話しする会にしたいと思っています。お楽しみに!
フラヌール書店 久禮
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